この記事には、知財検定2級に落ちて(一部合格)しまったものの、再受験して合格したときの学習方法が書かれています。一度落ちてしまったからこそわかる、2種類の問題集と参考書テキストを徹底比較した上で、3級と2級の難易度の差に注目した、合格ラインを越えるための学習方法を紹介します。
知的財産管理技能検定2級試験の概要
知的財産管理技能検定とは、「知的財産管理」という職種に関する国家試験です。主な出題分野は、特許・著作権・意匠・商標などです。1級から3級まであり、その中で中級の扱いである2級には受験資格があり、3級合格者又は実務経験などいずれかの条件を満たしている必要があります。3級を飛ばして最初から2級にチャレンジする方は、公式HPで受験資格について確認しておきましょう。
例年3月・7月・11月と、年に3回試験の機会があります。
知財検定2級の合格ライン
3級と同様に、学科と実技という2科目に分かれており、両方の科目で合格ラインの8割以上の点数を取れば「合格」となり資格を取得できます。
3級と2級では分野ごとの出題頻度が若干変わっていますが、それ以上に一番の違いは、端的に言えばこの合格ラインになります。わずか40問しか出題されない試験なので、合格ラインの8割を超えるためにはミスは8問しか許されません。問われる知識の専門性が増している点よりも、正答率がシビアになるため、うろ覚えでは凌ずにより正確な知識が求められます。
もしも学科・実技のうちいずれか片方が8割以上であれば「一部合格」となり、合格した方の科目の試験は翌々年度まで免除となります。免除となる正確な期間は必ず公式HPを確認してください。
なお、学科と実技は出題形式こそ異なりますが、出題分野は同じです。つまり暗記すべき内容は共通しているので、勉強を片方だけに絞るメリットはほぼありません。少なくとも初めて受ける際は一気に両科目の合格を目指すことをお勧めします。結果として一部合格となった場合は、次回以降の問題演習では残った科目に集中しましょう。
参考書徹底検討
公式テキスト・スピードテキスト比較
参考書の選択肢となる「公式テキスト」と「スピードテキスト」はボリュームや価格に差があり、絶対的にどちらが優れているとは断定しにくく、特徴を簡単に比較するとこうなります。
公式テキスト | スピードテキスト | |
価格 | 高い 5,060円 | 安い 3,080円 |
ボリューム | 多い 約440ページ | 少ない 約250ページ |
収録傾向 | 体系的な解説で 頻出出題範囲を中心として 関連事項も網羅 | 頻出事項を中心に コンパクト |
電子書籍 | なし | Kindle版 あり 2,633円 |
ボリュームの差については全体のページ数だけではイメージしにくいと思うので、具体的な例を一つ紹介します。例えば出題率が高いわけではない「IPランドスケープ」の解説量は、スピードテキストでは1ページ弱ですが、公式テキストでは丸々3ページあります。長ければいいというわけではありませんが、1ページ弱と3ページでは当然情報量に差が生じます。
パターン別 おすすめ参考書と活用方法
どれか一冊選ぶなら → 公式テキスト
オーソドックスに公式テキストと問題集で学習します。時間とお金が許すならば、個人的にはこちらを一番お勧めします。
少しでも節約したいなら → スピードテキスト
スピードテキスト一冊では合格に不十分ということはありませんが、新問や珍しい問題への対応力が弱いのは事実だと思います。法律やガイドラインの改訂があった事項については、別途自分で特許庁などの公式発表の文言に目を通しておくといいかと思います。
また、合格ラインである正答率8割越えのためには、コンパクトなテキストの記載内容は完璧な把握を目指しましょう。スピードテキストはすぐに赤シートが使えるようになっているので、そのメリットを活かして短時間で最初の暗記を進めて、問題演習の時間を確保できるといいでしょう。
ちなみに、スピードテキストにはより安価な電子版もあります。重たいテキストを持ち歩かずに済むので、通学通勤などの隙間時間で勉強したいという方にはこちらもお勧めです。
お金と時間に余裕があれば → 公式テキスト+スピードテキスト
公式テキストと問題集を中心に学習していき、スピードテキストは要点確認や暗記グッズとして利用するというハイブリット手段になります。
問題集・徹底検討
スピード問題集・厳選過去問題集 比較
「厳選過去問題集」と「スピード問題集」を比較します。なお、スピード問題集は学科と実技に分かれているため、2冊合わせています。なお解説の丁寧さについては特に優劣の差はないと感じたため、比較していません。
厳選過去問題集 | スピード問題集(学科+実技) | |
価格 | 安い 2,640円 | 高い 3,740円 (1,980+1,760) |
ボリューム | 少ない 200問 | 多い |
構成 | ・本番同様の選択問題(過去問) ・最後に40問形式の模擬試験 | ・本番同様の選択問題(過去問&オリジナル予想問題) ・本番とは異なる形式で、知識を確認する一問一答問題 |
ボリュームについて問題数で詳細を比較すると、厳選過去問題集は計200問のため、学科・実技は100問ずつです。一方スピード問題集は学科一冊分には本番同様の選択問題だけで約160問掲載されています。この160問に加えて、知識確認問題も載っているため、スピード問題集は厳選過去問題集と比べてかなりボリュームがあります。
パターン別 おすすめ問題集と活用方法
大量演習したいなら → スピード問題集(学科&実技)
オリジナル予想問題が過去問よりも難易度が低く、一方でより高度な知識が求められる「プラスの技」は実際の試験よりも難し過ぎるように私は感じましたが、それでも個人的にはこちらを一番おすすめします。資格試験の勉強においては、合否を分けるのは結局は問題演習にかかっているため、大量演習が結局は合格への近道になると思います。
節約して一冊で終えたいなら → 厳選過去問題集
問題集のボリュームを補うため、公式HPで無料公開されている過去問3回分を活用しましょう。問題集との重複もあるでしょうが、過去問3回分だけで240問もあるため、これをやりこめばカバーは十分可能です。なお、公式HPには正解は載っていますが、解説はありません。よって、特に間違えた問題やあやふやだった選択肢については自分で参考書やテキストを参照して疑問を潰しておきましょう。手間ではありますが、自分で調べることも勉強になります。
実録! 不合格と合格を分けた理解度の差
私は初めて受けた知財検定2級の試験では、実技のみ8割越えの一部合格となってしまいました。その後、学科のみを再受験し、無事合格となりました。一度落ちてしまったからこそわかる、合格ラインを越えるために求められる理解度の差と学習する際の注意点を紹介します。
不合格時の理解度
3級合格直後、忘れないうちにとすぐに2級に申し込んで勉強を始めました。試験直前に解いた1回分の過去問と、模擬試験ではいずれも9割以上正解できていたため、それほど不安なく試験に臨んだのですが、結果は下の通りでした。
惜しい!学科は77%、わずか一問足りませんでした。しかしながら合格した実技の方も80%ということでいずれにせよボーダーでした。
問題集の問題は何周かしてほぼ完璧にできていましたが、思い返すと正解だけを覚えてしまいスイスイ解いてしまっていた部分もあったと思います。ただ正解するのではなく、例えば4択の適切/不適切を選ぶ問題では、4択それぞれ「なぜ○なのか、もしも×ならどの部分が誤りでその正解はなんなのか」が答えられるように勉強するべきでした。
合格時の理解度
不合格時の反省を活かして、過去問で9割を越えても安心できないと感じていました。そこで、普段問題に取り組むときから毎回4択全てに対して「なぜ○なのか、もしも×ならどの部分が誤りでその正解はなんなのか」まで突き詰めるようにしました。その結果、無事に95%となり2級合格することができました。
合格ラインの8割を超えるためにはミスは8問しか許されません。わずか40問しか出題されない試験では僅かなミスが命取りになります。普段の勉強時から「なんとなく正解だけわかった」ではなく「選択肢全てが説明できる」レベルまで突き詰めていくことが、合格のカギだと感じました。
コメント